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山古志ことば特集

雨・雪の表現から、闘牛・錦鯉の専門語まで。
山古志の言葉の豊かさを、テーマ別に深掘りします。

静かな降り方
しわしわと
しとしとと
ぽつぽつんと
しょぼしょぼ、じょおし
きるさめがふる(大粒の霧状の降り方)
ひょおるさめ(お天気のいいのに降る雨)
おくるさめ(お葬式の時に降る雨)
なみださめ(間歇的に降る長続きする雨)
やあげんなって(小雨がやや長続きする)
激しい降り方
ぢゃあちゃあと
まけるように
きちげえぶり(かなりの長雨)
たいさめぶり(大雨)
ごうたれぶる(かなり長い間、多量に降る)
書籍参照:p.141
悠長な感じの降り方
ひらひらと
ひらんひらんと
こかぜについて
やあげになって
降りしきる感じ
こまっかいがい
おなみてえんがが
おっぽんがが
ぽたぼたと
びちょびちょしるがが
こんこんと
激しい降り方
よこなぐるに
もこうが、めえねほど
まけるように
しぐらんで降ってきた(真っ暗になって降る)
書籍参照:p.141
おいしい・ほおばる
んまげにして(おいしそうに)
おぐちにして(口いっぱいに、ほおばって)
ちっとづつ(少しづつ)
ぽくぽくと
はくはくんと
はくぱくと
ぱくんぱくんと
ぐちゃんぐちゃんと
あふあふと
もぐもぐと
むしゃむしゃと(歯の弱い人の食べ方)
ふっとほばるして(口いっぱい入れて)
いやいや・無理して食べる
まずげんして(急いで大口に食べる)
やあげんして(おいしくないのをがまんして)
しょおんして(恥ずかしいけど無理して)
さっざんなったげんして(腹いっぱいをがまんして)
からげんつらして(辛そうな顔して)
飲み込む・噛む
にがげんして(苦そうな顔して)
しょっかげんして(酸っぱそうな顔して)
すっかげんして(塩辛そうな顔して)
さらごおいこんで(急いでかきこむ)
するごこむように(おかゆなどを流しこむ)
やっとかみこうして(ようやく咀嚼して)
のどがはばけた、かむ(沢山一度に飲みこもうとして)
くちつぼめて(しっかり口をしめて)
書籍参照:p.142
ゆっくり・のろのろ
そろそろ、あいぶ
のろのろ、あいぶ
のそのそ、あいぶ
のそんのそん、あいぶ
のろんのろん、あいぶ
ふらんふらん、あいぶ
ふらぶらん、あいぶ
ぶらんぶらん、あいぶ
しっかり・ふらふら
としとし、あいぶ
とんとしん、あいぶ
すかすか、あいぶ
すかんすかん、あいぶ
すこすこ、あいぶ
くんくん、あいぶ
ゆらゆら、あいぶ
ゆらんゆらん、あいぶ
よっくる、あいぶ
その他の歩き方
てちょむいて、あいぶ
たかあしこうて、あいぶ
つんのめるそうげんなって、あいぶ
やあげんなって、あいぶ
きょおもんで、あいぶ
こあしね、あいぶ
おおあしね、あいぶ
そろんそろんと、あいぶ
からだ いするしまに、あいぶ
よそっつらして、あいぶ
書籍参照:p.143
祖父母・父母・子供(男)

【祖父母(男)】
・上・中流:おじさま、おじじ
・一般:じさ、じい、じっじ

【父母(男)】
・上・中流:おとと
・一般:つぁ、とっつぁ、つぁっつぁ

【長男・長女(未婚・男)】
・上・中流:あんにゃ、ぼう、ぼうんこ、にゃんこ
・一般:あに

【次男・次女(既婚・男)】
・上・中流:あんさま、おっさ
・一般:あに、おじ、おじんぼ、おじごっぽう

祖父母・父母・子供(女)

【祖父母(女)】
・上・中流:おばさま、おばば、おかか、おっかかさま、おかかさま
・一般:ばぁ、ばっぱ、ばさ

【父母(女)】
・上・中流:おかか
・一般:はっか、かっか、か

【長男・長女(未婚・女)】
・上・中流:ねちゃ、ねんね、ねんこ、ねん
・一般:あね、ね

【次男・次女(既婚・女)】
・上・中流:あねさま、あねま、あねさ、おばさ
・一般:あんね、あね、おば

人への呼びかけ・性格を表すことば

【一人に向って】
・おまえさん → 御前様
・ごて → 御亭
・おさま → 御様
・んな → 汝
・おまえさんがた → 御前様方

【二人以上に向って】
・ねら → 汝等
・なら → 汝等
・おまえさんがた → 御前様方

【性格を表すことば】
・ごうたれ → 業垂れ(悪業深い者)
・やぶれ → 破れ(横紙破れ)
・どくされ → 膽病(おっかながり)
・はじけ → 弾ける(出しゃばり)
・どうずる → 胴気(動かない)
・きもやき → 良くなし(意気地悪)
・よくなし → 良くなし(意気地なし)
・さまなし → 潔癖なし(態無し)
・さんぎょ → 少才
・こっぺつ → 仕事嫌い(うそつき)
・のめし → うそつき
・どすこき → うそつき(こざさかしい)

書籍参照:p.144
雪の種類
こなゆき
みずゆき・あなれ
ぼたゆき
おもたげのゆき
おっぱのゆき
はしらいだこなゆき
雪の中で
しみわたる
ずいなのる
しんばし
ばんばふみ
ぽぼずいなのり(藁で作った物に)
いっちょう遊び
雪の遊び
しんぱし
ばんばふみ
ぽぼずいなのり(藁で作った物に)
いっちょう遊び
身につけるもの(男)
はっぱき
ももひき
ももかさ
すっぺ
みのぼし
こかけ
まんと
こうかけ(手にはめる)
おこそ
かくまき
きやはん
たび
わらぼうし
でっぺ(他)
身につけるもの(女)・道具
【女性が身につけるもの】
つっぱめ
【道具など】
おとしいた(雪囲い用板)
こすき
かんじき
すかり
やまぞり(大きなかんじき)
書籍参照:p.146
語尾一覧
あたまにつくことば
書籍参照:p.147
朝・昼・夕方
【朝】
あっちゃくなるげだのお
きょは なじだの いたかい
ほこのしょ
【昼】
ひらがりだねかの
まんまにしょぜの
あっちぇのお ひとさめほしのお
【夕方】
いっときに暗くなったのんし
あっちゃくて ずでっきりだめだったいや
送迎・買い物
【送迎】
はあきたかね
よおきてくらしった
おば でこなったね
きいつけていがや
【買い物】
これくらされ
これくんねかの
なんたらたかくなったのし
見舞・お祝い・不幸
【見舞】
あんばいは どうだの
でいっこ わりいかい
だいじにしねと おおごったいの
【お祝い】
ほこんしょ よかったねか
まあ いかほど よかったのお
しあわせしあわせ
おとこでねえか しあわせしあわせ
【不幸】
おさんざんでございんしたのお
どうしようべのお
おもいつけねことお
【その他】
なんでもいいふけ(男児でも女児でもどちでもいい、丈夫な子を大勢つくってくれ)
書籍参照:p.148
道具・場所(1〜6)
1んまや(廐):住宅本屋に直角につけた別棟の建物で牛を飼う所。前方出入口に杉丸太のマセと呼ぶ棒を渡し取りはずしのできるようにしたもの。
2はなげ:鼻の穴。鼻の内側に横に通す縄。鼻の穂先(ヌイゴ)を木槌でたたいて通す。太さニセンチ位、長さニメートル位。両端方向を次第に細くして片方の先は鳥の羽のように鼻穴に通し易いようにしたもの。
3なげ穴:生後八ヶ月位の時、鼻先から一センチ位の無痛箇所に開ける穴。
4んまや入れ:角突き牛を購入し自分の牛屋に入れた時、村の若い衆や近所の人の力を借りて無事健闘を祈る。
5おもづな(面綱):相撲の化粧まわしに当たるもの。紅・白・黒の布で三練縄。
6ひきづな(引き綱):引き縄。取り綱とも言い、闘いから引き離す縄。飾りともなる。
儀式・場所(7〜14)
7門出祝い:角突き当日、面綱・新しい鼻縄・神酒を神前に供え家族全員で祈願する。牛の背に神酒をかけ、見送りに来た人にも酒を出す。
8つなぎ場:闘牛場の周辺の控え部屋に当たる広い土地で木陰を選ぶ。
9つなぎ杭:牛をつなぐ杭。丈夫な杉丸太を地中深く打ち込む。牛自身で切れる程度の強度。
10鼻縄酒:出場直前に牛の背から頭部に向けて順次。牛引く人・足縄かけの人・勢子の順に呑む。
11場所入れ:闘牛場入りの儀式。牛主と牛にとって最高の晴れ場。
12鼻綱抜き:面綱をかけた牛を勢子の掛け声で場内一周して、牛の呼吸を考えて静かに鼻綱を抜く。
13取る:勢子の役目で足掛けと呼ばれる者の引き分け。抜いた鼻綱は高く投げ上げる。
14上げる(牛の退場):鼻綱・面綱・引き縄・トチ金を通して結び合わせ、「このように健闘しました」と場外に引きあげる。
道具(15〜17)・木遣唄
15トチ金:鉄製の二個の輪が一本に接続して作ったもの。自由に回転できる。
16足取り綱:足掛け綱とも言い、闘いから引き離す綱。片方の輪に鼻綱、片方に引き綱を通す。両方の縄がよじれないように考えてある。
17牛送り:当日よく健闘した牛については部落の若い衆や勢子が牛についてその場を歌いながら送り込む。牛の無事健闘を神前に祈る。
18木遣唄:

 一、皆様ヤー頼むエーヨウ
 一、ソロソロと頼むエーヨウ
 一、若い衆ヤー頼むエーヨウ
威勢のよい、独特の曲とアクセレーションにより、静かで重みを感じさせる。

闘いの方法・技術(19〜33)
19ねるふむ:闘争回数を重ね年を経ると、ねりをふむ。
20押合い:自分の度胸の良さを相手に感じさせる。
21角打ち:自分の角で相手の角をたたく。
22横打ち:力の限り押し合う。角で相手のほほ・頭などを横さに打つ。
23鼻押し:鼻先で相手のほほ・鼻頭を横なぐりに押して相手の体勢を狂わせる。
24透しねらい:油断と見るや急に突っ込む。
25長角横打ち:角の長い牛は角で相手の頭部を横から強く打つ。
26鉄砲突き:あまり他の技術を持っていないが闘志むき出しに猛突する。
27上手押し:互いに角と角を合わせて押し合う。
28牛角押し:両角を相手の頭の上部から押す。
29前脇突き:機を見て相手の頭の前脚の付け根箇所を横から押す。牛の急所。
30下曲打ち:角が下向きの牛が頭を合わせた時に崩れ易く、時に勝敗を決することもある。
31一本角打ち:相手の目の箇所に角の先を当て相手を困らせる。
32両角使い:右・左と交互に自分の角を相手に持ち上げ、下に入れて相手の頭部を持ち上げる。
33油断打ち:自分で乗ってみるや相手をひっくりかえそうとする。
34片角ねじり:片方の角を相手の角の下に入れテコのように相手の頭をねじり上げる。
飼料・飼育(35〜39)・牛の世話
35飼いば桶:杉材を使用して直径六十センチ・深さ三十三センチ・厚さ三センチの頑強な容器。薬や草以外の飼料を入れて与える。
36麸(麦):小麦から小麦粉をとった後の粕。小麦の実を原形のまま押し潰したもの。ふすま。
37とうもろこし:実を荒く砕いたもの。
38配合飼料:とうもろこし・大豆など数種類の穀類を混合して乾燥し砕いたもの。
39固形野草:カロリーの高い野草を拳大の正方立方体に固めたもの。緑の野草のない冬季間に与える。

【牛の世話】
これ等の飼料を牛の体格・運動状況・体調などを勘案して一日に二回与える。その他、藁・青草・乾燥野草・水もらくらく与える。毎日かけ足など走らせて足腰を鍛える。平面を早足で走らせて足を主として体を鍛え熾烈な闘争に備える。体毛の生えかわりが非常に多くブラシで払い落とし時には水洗いしてやる。爪の形を直し細心の注意を怠らない。(竹沢・星野一夫)

書籍参照:p.149
商い
1そで(袖):着物の袖の中で指をおさえて他の人に判らないように売買する。
2水見商い:池の中で飼育中の鯉を売主の絵柄・色彩を信用して商いする。
3絵語り商い:売主の絵柄・色彩を信用して商いする。
4ようし(市):部落の愛好者が発起人となり近隣の愛好者に連絡し鯉を持ち寄ってセリ市をする。(今の競売場の前身)
飼育・道具
5稲田養鯉:池を造らずに稲田をそのまま利用して鯉を飼育する。田の土で大きな畦を作り鯉を飼育する。
6きす:池を造らずに稲田をそのまま利用して鯉を飼育する。
7岡持:木製で手提げ式の運搬桶(小物用)。
8長手:天秤棒で両方に下げ肩にかついで運ぶ。
9四つ手:大鯉運搬に使用する桶。
書籍参照:p.154